

アスリートの顎には、ほぼ不具合があるといえます。特にプロの方のなかには、それを自覚している方が多く、競技によっては、マウスピースする方もいらっしゃいます。
約60kgの骨格の方の場合、インパクト(衝撃)の瞬間顎にかかる力は、約300~900kgほどです。顎を食いしばることで体の動作のスイッチが入るので、無意識に力が入るのは当たり前です。野球の王貞治選手の奥歯はボロボロだった、という話もあります。
最近周知されてきましたが、逆に顎をリラックスした状態にできないと、腕の振りが悪くなるなどのマイナス要素が出てしまいます。
たとえば陸上選手の場合、従来は歯を食いしばって走っていましたが、ウサイン・ボルト選手は口元を緩めて走り、フローレンス・ジョイナー選手は、ニコッと笑いながらゴールインするということで話題になりました。
顎が緊張し続けた状態のままで、力を緩めきれないと、パフォーマンスが落ちてしまいます。顎にかかる力には、メリハリが必要なのです。
当院には、格闘家や直接打撃を受けるキックボクサーなども来院されますが、繰り返し顎に力がかかるため、改善が難しいのが現状です。
引退されれば、現役時代ほどのダメージは受けないかもしれませんが、今までのダメージがかなり蓄積されているはずなので、引退後にも来院していただくことをお勧めしています。